
STORY
最愛の伴侶を病でなくした東島(萩原聖人)は、生きる気力を失い、極道の世界から離れ、知らない街に流れ着く。何気なく入ったバーで多額の請求をされても何も言わずに金を支払う東島に興味を持った沙織(黒谷友香)は、東島に仕事を任せるようになる。
一方、組織の一員である南(深水元基)は、繰り返される日常が耐えられずにいた。東島について沙織から報告を受けた南は、東島が景色を変えてくれることを期待し、東島に一人の少年・将吾(渋谷そらじ)の面倒を任せる。沙織の元、黙々と仕事をこなしてきた東島だが、将吾の秘密を知ったことをきっかけに、指示に背き、将吾を外に連れ出し…






















COMMENTS
横井健司(監督・脚本・編集)
初期の頃のVシネマにあった潤沢な予算がないながらもスタッフ、キャストの熱意でそれを超えるものを生み出していたあの頃のような作品を作りたいとエグゼグティブプロデューサーの藤澤謙からの申し出を受け、ゼロベースからスタート。本来の台本作りとは異なり、物語を語るのではなく東島龍という人物の心のありようが物語を紡いでいく形をとりました。彼の辿る軌跡を追っていく事で必然的に物語が生まれてくるようにしました。
抗いようのない喪失感を抱えたひとりの男を、その佇まいや生きながらえることを切望しないその眼差しで見事に演じきった萩原聖人さんは東島龍そのものでした。
昂らない魂を持て余して生きながらえるよりも、死と隣り合わせの恍惚感を求めて生き急ぐ南辰也を深水元基さんは静と動をうまく取り込んで演じてくれました。
抗っても現実は何も変わりはしないことを知っている名波沙織。それでも生き続けることを選択する。そんな彼女の強さを体現してくれた黒谷友香さんには感謝しかありません。
こんな映画が見たいというひとりの男の思いが『月の犬』を作り上げました。ひとりの熱意でもそれが伝わればこうして作品となり、その思いを届けることができる。こんなに嬉しいことはありません。是非とも劇場でご覧ください。
萩原聖人(東島龍役)
昨今様々な機材や撮影技術などが進化しても、
作り手の想いみたいなものは不変でありたいという監督の強い思いを感じました。
自分自身も脚本に素直に共感できましたし、ATGの匂いを嗅いでみたいと思い、出演させていただきました。
東島には何もない。
何もない中で呼吸はしなきゃいけない。
そんな生き苦しさを抱える役に体当たりしてみたいと思いました。
東島と深水元基さん演じる南と黒谷友香さん演じる沙織の3人は、月の引力で出会ったのだと思います。
深水さんと黒谷さんはお2人共に僕にはないスケールがあります。
そしてそれを大きくも小さくも出来る。
真似したくとも出来ないです。
この作品に関わってくれた全てのスタッフはクライマックスを撮影した2日間、東島と南以上に大変な思いで、そこにいたと思います。この2人にしか成立しないキャッチボールを楽しんでいただけたらと思います。
深水元基(南辰也役)
最近の映像作品では少なくなってきた“余白”があり、多くを台詞で語らず、静かに物語が進むほどに、心だけがどんどんざわついていきました。
まさに「映画だ!」と感じました。
南はこれまで演じたことのないタイプの役で、淡々としていながらも、内側には沸々とした思いを抱えています。
南を演じていく中で、希望を持つ南を愛してやまなくなりましたね(笑)
萩原さんは尊敬している先輩なので、この作品で同じ土俵に立たせていただけたことは本当に光栄でした。
東島とのシーンは、南としても、そして深水としても、ワクワクする時間でした。
東島と南、そして沙織……
出会ってしまったからこそ辿り着くその先を、ぜひ劇場で見届けていただけたら嬉しいです。
黒谷友香(名波沙織役)
これまでにないテーマを描いた作品で、オファーを受けた際は未知なるものに触れていく様な感覚でしたが、演じる上ではやりがいを感じられる役柄でもありました。衣装合わせで、脚本を書かれた横井監督と直接お会いして様々なことを話し合い、私も更に理解を深め、そして劇中で沙織が身に付ける衣装を決めていく作業を進めていく中で、沙織という役が少しずつ姿を見せ始め、立ち上っていった気がします。とても愉しい時でもありました。
萩原さんとは別の作品で共演させていただいて以来でしたが、今回の作品で劇中で沙織として、萩原さんが演じられる東島という人物に接し、共演できたことは大変嬉しかったです。 深水さんとも久しぶりの共演でしたが、この作品で再び共演できたことにご縁を感じました。深水さんが演じられる南が魅せるどこまでも暗い目の中にあるギラつきが沙織としても印象的でした。
東島、南、そして沙織、登場人物達がそれぞれの想いを胸に決断した決着の付け方、是非ご覧になっていただきたいと思います。